【ネタバレ注意】劇場版 とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟 を色々調べてみた【考察】

先日、劇場版「とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟」(以下、エンデュミオンの奇蹟)映画見てきました。映画入場者特典のフィルムGETのために2回目の鑑賞です。

さて今回はタイトル通り、エンデュミオンの奇蹟の事について色々調べてみました。

まぁ多々間違い・勘違いやらあると思いますが、温かい目で見守っていただければと存知ます。お気づきの点あれば、コメント欄に優しく穏やかにご指摘いただければと助かります。

 

以下、ネタバレ超注意!!

 

 

劇場版「とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-」 本予告

エンデュミオンとは?

学園都市の科学の粋を結集して建造された世界初の宇宙エレベーター「エンデュミオン」。

劇中でも述べられている通り、宇宙エレベーター(軌道エレベーター)の最大の利点はシャトルやロケットなどを使わずに(比較的)気軽に宇宙へ行けるというところです。

ひと昔前までは夢物語的に扱われてきましたが、科学技術の進歩により実際に宇宙エレベーターの誕生が現実味を帯びてきました。といっても「ガンダムOO」を視聴されていた方もご存知のように、通常は宇宙エレベーターは赤道近辺で作られるべきで、学園都市(北緯35度)に造るのは、初春が語っていた通りものすごい技術力です。

エンデュミオンは東京に建造できるんですの?
「某ロボットアニメに登場する某粒子的な、現在の科学を超越したものが見つからない限り、エンデュミオンは劇中のように学園都市内で直立しません。」

ASCII.jp:劇場版とある魔術の禁書目録の舞台・エンデュミオンとは, 2013年3月16日 (土) 11:27 JST, URL: http://ascii.jp/elem/000/000/770/770258/index-2.html

しかし禁書世界におけるこういった巨大構造物は、バベルの塔などと同様に魔術的な作用を引き起こすことがステイルによって指摘されています。

そんなエンデュミオンの名の由来は、古代ギリシア神話からの出典です。

エンデュミオーン
エンデュミオーン(’Ενδυμίων, Endymion)は、ギリシア神話に登場する人物である。(中略) エンデュミオーンは、ゼウスの息子アエトリオスとアイオロスの娘カリュケーとの息子、あるいはゼウスの息子とされる。

エンデュミオーン -『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』, 2013年3月9日 (土) 23:28 JST, URL: http://ja.wikipedia.org

神話のエンデュミオンは、超絶イケメンだったそうで、吹寄級な鉄壁ガードを誇っていた月の女神「ディアナ」さえも恋に落ちてしまうほどでした。

しかし彼は人間であるが故に寿命が存在します。ディアナはそれをよしとせず、全知全能の神「ゼウス」に「彼に永遠の命を!」と願い叶えられますが、それはエンデュミオンがその若さを保ちながらも永遠の眠り(不老不死)についてしまうという悲劇的なものでした。

レディリー=タングルロード

不老不死といえば、禁書目録では学園都市統括理事長アレイスターなど何人かが登場しますが、映画のゲストキャラ「レディリー=タングルロード」(宇宙エレベーターのスポンサー会社社長)もその一人でした。

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彼女は刺されても、爆発に巻き込まれても、宇宙に放り出されても死ぬことは許されない身体です(ダメージはあるようですが)。

ジェニー・リンド以来」発言や「もう1000年は生きたかしら・・・?」発言などから推測するに彼女の年齢は1000に達しているものと思われます(微妙にぼかしているのは禁書の年代設定が未公開だから??)。

ジェニー・リンド
ヨハンナ・マリア・リンド(Johanna Maria Lind 1820年10月6日 - 1887年11月2日)は、スウェーデンのオペラ歌手。ジェニー・リンドとしてよく知られており、 (中略) 19世紀において最も注目を集めた歌手の一人であり、スウェーデンやヨーロッパ中でソプラノの役を演じていた。

ジェニー・リンド -『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』, 2013年3月10日 (日) 00:13 JST, URL: http://ja.wikipedia.org

レディリー=タングルロードは元々ギリシャ系の魔術サイドの人間であり、神託を受けた巫女・占星術師でした。

インデックス曰く、彼女が発動させた魔法陣が、古代ギリシャで用いられたゴエティア系の術式であったことからもそのことが読み取れます。

彼女は、劇中の時代からおよそ1000年前、ギリシア神話に登場する神食「アムブロシアー」と思われる食べ物を口にし、その効果(呪い)により「不老不死」となったと考えられます。

アムブロシアー
アムブロシアー(古代ギリシャ語: ἀμβροσία, ambrosia)は、ギリシア神話に登場する神々の食べ物である。日本語訳では「不死」を意味している。

アムブロシアー -『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』, 2013年3月10日 (日) 01:15 JST, URL: http://ja.wikipedia.org

映画では一瞬しか描写がなく、年代がハッキリしないので推測となりますが、この頃のギリシャは「東ローマ帝国」統治下で各地を征服して繁栄期を迎え、そして他国の侵略を受けて衰退期に移り変わる不安定な時代でした。そんな時代の奔流の中、彼女はアムブロシアーを口にせざるを得なかったのかもしれません。

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オリオン号

スペースプレーン「オリオン号」。オリオン号は劇中冒頭に、試験飛行中のスペースデブリによる事故で学園都市に墜落する様子が描写されています。搭乗していたシャットアウラ=セクウェンティアが握り締めていた青い宝石のブレスレットは、搭乗者全員に配られた記念品で、これにもまた「オリオン座」の装飾が施されています。

なお、この事故はレディリー自身が起こした人為的な(自殺するため?の)事故であることが本人によって示唆されています。配られたブレスレットにも魔術的な意味合いがあったのかもしれません。

オリオンといえば天空の星座のひとつとして非常に有名です。

諸説ありますが神話におけるオリオンは、好色家かつ乱暴者の猟師でした。最終的に月の女神「アルテミス」に愛されながらも、さそりに刺し殺され、星座となったというエピソードが有名です。

劇場用パンフレットにも書かれていますが、オリオンとエンディミオンは「月の女神に愛されたという共通項」、そして「計画凍結されたオリオンと実用に成功したエンデュミオンとの対比」を持ち合わせています。

余談になりますが、エンディミオンとの接点は、1876年からパリのオペラ座で催された「シルヴィア」というバレエ作品にもありました。

シルヴィアのストーリーは、身分違いの「シルヴィア(女神ディアナに仕える女神)」と「アミンタ(羊飼い)」が恋に落ち、「オリオン(悪役の狩人)」の妨害を受けつつも、「エロス(恋の神)」に助けられながら、最終的に「ディアナ」に許しを得て、結ばれるという恋物語です。

終盤、ディアナは2人の仲を否定しますが、エロスが彼女にアミンタと同じく羊飼いであった「エンディミオン」のことを思い出させ、考えを改めるに至りました。

年代から、レディリーもこの作品を鑑賞していた可能性は高いものと考えられます(ジェニー・リンドの存命時期とも重複)。

シルヴィア

『シルヴィア』 (Sylvia, 原題 『シルヴィア、またはディアヌのニンフ』、仏: Sylvia, ou La nymphe de Diane) は、レオ・ドリーブ作曲、ルイ・メラント振付による3幕5場のバレエ作品。原作はトルクァート・タッソの『アミンタ』(Aminta)。1876年6月14日、パリ・オペラ座で初演された。

シルヴィア -『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』, 2013年3月10日 (日) 02:11 JST, URL: http://ja.wikipedia.org

自殺

劇中では、「不老不死であるレディリー」が「不老不死の象徴であるエンディミオン」に、聖人級の力を持つゲストヒロイン「鳴護アリサ」を組み込み、北半球が消滅する規模の巨大魔法陣を発動させて「自殺」を図ろうとします。

レディリーにとって、
エンディミオンの破壊 = 不老不死からの解放 ということだったのでしょうか。

 

結局不老不死の呪いから逃れることのできなかった彼女は最終的に学園都市の管理下におかれたようです。

彼女の名、タングルロード(tangle road)は「もつれあった道」を意味しますが、まさに彼女の人生を表しているかのようです。・・・改名したらいいのに。

 

鳴護アリサ と シャットアウラ=セクウェンツィア

映画のメインゲストキャラとして登場する、鳴護アリサシャットアウラ=セクウェンツィア

劇中では、この2人の運命の交わりがストーリーの主軸となります。

「奇蹟の歌姫」 鳴護アリサ

鳴護アリサは、レベル0ながらも不思議な力を持ち、「霧ヶ丘女学院」で定期的に検査を受けているようです。彼女の歌声には「奇蹟を引き起こす作用」があり、スペースプレーン事故・ステイルによる公園施設の爆砕・イベント会場での爆発事故・エンデュミオン崩壊危機など、人命が危機の際に力が発動、物質(特に落下する構造体)に大きな力が作用し、危機を回避する働きを持っているように見受けられます。

霧ヶ丘女学院
「単純に能力開発分野だけなら常盤台に肩を並べる名門学校。常盤台が汎用性に優れたレギュラー的な能力者の育成に特化しているのなら。霧ヶ丘は奇妙で。異常で。でも再現するのが難しいイレギュラー的な能力者の開発のエキスパート」(姫神秋沙)
鎌池和馬「とある魔術の禁書目録⑥」第一章 始業式 p.81, アスキー・メディアワークス, 2005年 より引用

奇蹟の正体

彼女の能力の正体は劇中では明かされていません。身体検査(システムスキャン)においてもレベル0と判定されていることから、科学サイドによる超能力の可能性は低く、またイギリス清教(魔術サイド)の神裂火織も、彼女が聖人的な力(暫定第9位)を持つ人物であると明言していることから魔術サイドの力であると考えられます。

ひとつヒントが与えられてるとすれば、彼女の名前なのかもしれません。

鳴護」という漢字から、鳴く(歌う)ことで(人々を)護るという意味が込められているように感じられます。それは、彼女の普段身に付けている「」の髪飾りからも読み取ることができます。

十字教(キリスト教)において、鳩は象徴的意味を含む鳥として描かれることが多く、神の霊が鳩の形となって現れるのは有名な話です。

英語で「神のご加護を」を意味する May god be with youメイ ッド ビー ウィジュユー)にも彼女の名前が含まれています。

これらのことから、彼女が歌う = 神のご加護 と結論付けられます。

・・・神のご加護を消してしまう上条当麻には、補うという意味では相性が良いのかもしれません。

 

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シャットアウラ=セクウェンツィア

まず注目すべきは彼女の名前でしょうか・・・
Shout aura Sequenzia(Sequentia)。雑に訳すと「オーラを持つ聖歌(セクウェンツィア)を叫ぶ」。音楽が「雑音」にしか聞こえない彼女にとって不相応ともいえる音楽だらけの名前です。

学園都市における能力区分はレベル4(大能力者)の「希土拡張(アースパレッド)」。彼女の能力を最大限発揮することのできる私設治安維持部隊「黒鴉部隊」のリーダーとして仲間を率いて活動しています。

黒鴉(カラス)。鳥が再び出てきました。

神話における鴉というと、悪魔の使いだったり戦争と死を司る神だったりとダークなところもありますが、太陽の使い神の使いといった神聖な鳥として扱われる場合もあります。

「神の使い」といったところは、先述の鳴護アリサにおける「鳩」にも通じるものが感じられます。

ちなみに「ノアの方舟」では、放ってオリーブの葉を加えて戻ってきた鳩より先に、鴉が放たれというエピソードがあります。鴉は戻ってきませんでしたが、一説には太陽に帰ったとされています。

ノアの方舟物語
七日後に洪水は起き、40日40夜の間、地上を吹き荒れた。 最後に方舟はアララト山の上に漂着した。 雨がやむとノアは木々の頂が見え始めた、土地を探すためにノアは鳥を放った。はじめに鴉を放そうとしたが、鴉は『自分たちはひとつがいしかおらず死ねば全種属が絶滅してしまう、別の鳥にしてくれ』と不平をいった。
しかしノアはそのことを聴かず空に放った。鴉は戻ってこなかった。次に鳩を放った。 鳩は地上にとまる所が見つからず方舟に戻ってきた。

「創世記 第8章12 『方舟から放たれた鳩』」より

彼女はスペースプレーン事故により父親を亡くし、さらに自身も音楽を処理できない状態になりました。

その原因は物語が進むにつれ、明らかになります。

最大の “謎” ― 2人はどこへ?

物語のクライマックスは、宇宙エレベーター「エンデュミオン」の上階層で展開します。スペースプレーンでそこへ向かった上条当麻インデックス(+神裂火織)。

インデックスは巨大魔法陣を止めるべく、レディリーの元へ。上条は鳴護アリサを救うため、ステージ会場へ向かいます。

上条が会場に着くと、そこには対峙する「鳴護アリサ」と「シャットアウラ=セクウェンツィア」。

 

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そこで上条当麻の十八番、説教&男女平等パンチ(そげぶ)が炸裂すると不可思議な現象が起こり始めます。

男女平等パンチ
男女平等パンチとは、上条当麻や一方通行(アクセラレータ)が相手が女であろうと悪いことすれば容赦なく顔面に拳をお見舞することである。

男女平等パンチ (だんじょびょうどうぱんち) -『ピクシブ百科事典』, 2013年3月10日 (日) 15:43 JST, URL: http://dic.pixiv.net

突如、シャットアウラが歌いだし、アリサもそれに呼応するように歌い始めます。シャットアウラが歌いだすというのは、個人的にはなかなか衝撃的でした。

やはり、あなたたち2人はひかれあうのね

レディリーの言葉を思い返す光景が広がります。

やがて美しい歌とともに、2人は光に包まれ、1つの存在となりました。

 

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ラストシーン、上条とインデックスは「」を見上げ、彼女らの歌を耳にします。

映画館のスクリーンに映るのはただの青空。ですが、彼女らはその「先」に行ったのではないでしょうか。

ギリシア神話において、オリオンが月の女神アルテミスに仕えるプレイアデス(7人姉妹を追い回した際、ゼウスが彼女たちをに変え、さらにへと変えたエピソードがあります。

そのエピソードの「なぞり」なのか、もしくは「ゼウス」による導きがあったのかはしれませんが、2人はどうなってしまったのかを、今までの考察から次のように結論づけます。

 

2人は、宇宙に輝く1つの「星」となった。

 

・・・スペースプレーン事故における強大な祈りや願い、さらにいくつかの偶然によって天界から何らかの「力」を呼び寄せ、それをその身に宿した結果、いくつかの犠牲を払いながらも「神のご加護」を得た彼女ら。

そして最終的に「同位体」である2人が引かれあい1つの存在となった時、最後の奇蹟を起こすと同時に、「導き」によって天界の星へと変化したものと考えます。

 

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今までのことを踏まえた上で改めてこの曲を聴くと、不思議な感覚が・・・

 

と、ミサカはミサカは個人的な見解を身勝手に述べ終わります☆

 

特典フィルム

映画館入場者特典第3弾として、デジタルマスターフィルム(5コマ入り)をゲットしました!商業的戦略には勝てない時は勝てません!!

最後にそちらを公開いたします。

 

 

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シャットアウラ=セクウェンツィアが窓越しにエンデュミオンを見るシーンです。

肉眼で見るともっと細かくて美しく見えます(今の手持ちのカメラではこれが限界)。

 

一部修正・追記(2013.03.16 11:28)
一部修正・追記(2013.03.12 01:46)